家族4人で、東南アジアを4カ国、10日間まわった。
シンガポール、クアラルンプール、ホーチミン、そして台風で予定が変わって足を踏み入れたバンコク。7歳と4歳を連れての旅である。
かかった費用は、およそ90万円だった。
先に断っておくが、この旅で私は一切節約をしていない。食べたいものを食べ、飲みたいものを飲み、行きたいところに行った。移動はほぼ全部タクシーである。公共交通機関を選んだのは、渋滞を避けるための1回だけだ。
我慢・節約という言葉が、頭の中になかった旅行だった。
それで90万円である。

旅費を公開する記事は、たいてい「いかに安く上げたか」の話になる。LCCを使い、ドミトリーに泊まり、屋台で済ませる。読んでいて感心はするが、自分にできるかというと別の話だ。
この記事は、その逆である。**削らずにやって、いくらかかったか。**明細を全部出す。
先に、内訳を全部並べる
事前に決済したものと、現地で使ったものに分けて書く。
事前決済
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| スイソテル ザ・スタンフォード 3泊+航空券1区間 シンガポール→クアラルンプール | 229,430円 |
| 航空券の税金・燃油サーチャージ (4人分) 全行程 | 126,320円 |
| Go City シンガポール (4人分) | 127,446円 |
| プルマン サイゴン センター 3泊 (ホーチミン) | 87,143円 |
| ザ・クアラルンプール ジャーナル ホテル 2泊 | 43,113円 |
| ベトナム出入国ファストトラック | 24,216円 |
| クチトンネル・メコンデルタ日帰りツアー | 19,039円 |
| クアラルンプール空港送迎 | 3,364円 |
| eSIM 2枚 | 2,421円 |
現地で支払ったもの
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 現地決済 (食事・移動・土産・その他) | 約200,000円 |
| サマセット スクンビット 1泊 (バンコク) | 20,666円 |
| 羽田空港 駐車場 10日分 | 約14,000円 |
合計、約897,000円。
そしてこの他に、**マイルを152,000使っている。**内訳は後述する。
以下、金額の大きいものから順に、なぜそうなったかを書いていく。
航空券は、4区間をマイルで取った
まず航空券である。
この旅程は、羽田を出てシンガポールに入り、クアラルンプール、ホーチミン、バンコクと渡り、バンコクから羽田に戻る形になっている。移動は全部で5区間。
このうち4区間を、特典航空券で発券した。
必要だったのは1人38,000マイル、4人で152,000マイル。現金で支払ったのは、税金と燃油サーチャージの126,320円だけである。片道ではなく往復分である。
4人分の国際線航空券が、5区間中4区間で12万円台。ここが90万円に収まっている最大の理由だ。

マイルの貯め方をここで書くつもりはない。ただ、**家族旅行の費用を下げたいなら、効くのは航空券である。**宿を1ランク落とすより、食事を我慢するより、ここが一番大きい。
取れなかった1区間を、一番高いホテルにくっつけた
ここからが本題である。
5区間のうち、シンガポールからクアラルンプールへの1区間だけ、どうしてもマイルで取れなかった。
理由は旅程の組み方にある。羽田からシンガポールに入って、そこで一度降りてしまう。次にマイルで飛ぶのはクアラルンプールからだ。この間の移動が、特典航空券のルール上つながらなかった。
そもそも、飛ばない選択肢もあった
ここで少し寄り道をする。
実はこの区間、陸路で行くことを本気で検討していた。
シンガポールからクアラルンプールは、レンタカーで走って行ける。国境を越える必要はあるが、道はつながっている。私は国際免許を持っていて、期限も残っていた。やろうと思えばできた。
そして、これがかなり楽しそうだった。国境を車で越えるという経験は、日本に住んでいる限り一生しない。飛行機で1時間20分の距離を、地面を這って移動する。旅の記録としては、こちらのほうが圧倒的に面白い。
治安の面でも、無理な話ではなかった。シンガポールもマレーシアも、この地域では落ち着いているほうである。
それでもやめた。
断っておくが、海外で運転すること自体に抵抗はない。オーストラリアでもニュージーランドでも、普通に借りて走った。知らない道を何時間も運転するのは、私にとって特別なことではない。
問題は、走る距離のほとんどがマレーシア国内になることだった。先進国ではない。
そして私は、その時点でマレーシアに行ったことがなかった。
路面がどの程度整備されているのか。とんでもない速度で飛ばす車がいるのか。車線変更や合流のマナーはどうなのか。**そういうものは、行ってみるまで分からない。**先進国の高速道路と同じ感覚で走れる保証が、どこにもなかった。
初めて行く国の交通事情を、走りながら学ぶ。それを子ども2人を乗せてやるのは、さすがに順番が違う。
1人なら、迷わず借りていた。
泣く泣く、飛行機にした。
だから、この1区間は別に買うしかない。
——もちろん、普通に買う訳ではない。
ホテルと航空券をセットで予約すると割引が効く。これ自体は誰でも知っている話だ。問題は、どのホテルにくっつけるかである。
割引は金額に対してかかる。つまり、紐づける相手が高いほど、割引額は大きくなる。
この旅で一番高かったのは、シンガポールのホテルだった。だから、クアラルンプール行きの航空券を、そこにくっつけた。泊まる場所と飛ぶ区間は、本来何の関係もない。
結果がこれである。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 元の料金(ホテル3泊+航空券4人分) | 194,866円 |
| 税金・燃油サーチャージ | 69,515円 |
| 小計 | 264,381円 |
| パッケージ割引 | -38,671円 |
| 予約合計 | 225,710円 |
38,671円が浮いた。
ちなみにこの予約では、ポイントを9,175円分あてている。手元から出たのは216,535円である。
紐づけ先を選べるサイトが、ほとんどない
ここで、改めて予約内容を見てほしい。
シンガポールに3泊したあとで、そこから飛び立つ航空券がセットになっている。
パッケージ商品というのは、本来「飛行機で着いて、そのホテルに泊まる」ものだ。移動が先で、宿泊が後。順番が決まっている。
この予約は、それが逆になっている。3泊して、チェックアウトして、それから空港へ向かう。セット商品の前提そのものを外した組み方である。
そして、ここが今回一番伝えたいことだ。
ホテルと航空券をセットにするとき、どちらに紐づけるかを自分で選べるサイトは、私が知る限りTrip.comだけである。
他の大手予約サイトでも同じことをやろうとしたが、できなかった。セット商品として決められた組み合わせから選ぶ形になっていて、「この航空券を、この高いホテルにくっつけたい」という指定ができない。まして、泊まってから飛ぶという順番では組めない。
私が出張でも家族旅行でもTrip.comを使っているのは、これが理由である。安いから、ではない。組み方を自分で決められるからだ。
宿泊費が、総額の4割を占めている
次に大きいのが宿である。
| 都市 | ホテル | 泊数 | 金額 |
|---|---|---|---|
| シンガポール | スイソテル ザ・スタンフォード | 3泊 | ※航空券込みパッケージ |
| クアラルンプール | ザ・クアラルンプール ジャーナル ホテル | 2泊 | 43,113円 |
| ホーチミン | プルマン サイゴン センター | 3泊 | 87,143円 |
| バンコク | サマセット スクンビット | 1泊 | 20,666円 |
パッケージ分を含めると、宿泊関連で総額の4割を超えている。
私はホテルから旅行の計画を立てる人間なので、これは意図した結果である。削るつもりが最初からない。

シンガポールで泊まったスイソテル ザ・スタンフォードは、マリーナベイを見下ろせる高層階の部屋を取った。部屋の中で過ごす時間は短い。それでも、窓の外に何が見えるかで宿を選んでいる。
(上記イラストはイメージです。実際の写真は東南アジア旅行記へ)
Go Cityは、1人31,800円で全部入りだった
アクティビティで一番高かったのが、シンガポールのGo Cityである。4人分で**127,446円。**1人あたり約31,800円。
数字だけ見ると高い。実際、単一の支出としてはホテル1泊分を超えている。
だが、これで回ったものを並べると話が変わる。
- ユニバーサル・スタジオ・シンガポール
- ナイトサファリ
- ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ
- ケーブルカー
- セメントコースターを作るワークショップ
個別に買っていたら、確実に上回っていた。
特にユニバーサル・スタジオ・シンガポールである。ここは1人分の入場料だけで相当な額になる。家族4人であの門をくぐった時点で、パスの半分近くは回収できている。そこにナイトサファリとガーデンズ・バイ・ザ・ベイが乗ってくるのだから、計算するまでもない。
パスの類は「元が取れるのか」が常に疑われるが、**行く場所が3つを超えるなら、大抵は取れる。**問題は、そのために予定を詰め込みすぎて疲れるかどうかのほうだ。
10日間の移動費は、35,000円しかかかっていない
ここが自分でも驚いた部分である。
4カ国を10日間まわって、現地での移動にかかったのは35,000円ほどだった。
繰り返すが、**節約のために公共交通機関を選んだわけではない。**ほぼ全部タクシーである。配車アプリを開いて、呼んで、乗って、降りる。それを10日間繰り返した結果がこの金額だ。

明細を見ると、1回あたりの金額が並んでいる。数百円のものが大半で、**100円を切っている記録もいくつもある。**家族4人で乗って、この値段である。Grab最高。
日本で家族4人がタクシーに乗れば、ワンメーターでも1,000円近い。感覚の差がそのまま金額の差になっている。
ちなみに、公共交通機関を使ったのは1回だけだ。バンコクで、行きのタクシーが渋滞に1時間つかまった。その反省で、帰りは電車にした。金ではなく時間の判断である。
ラウンジに4人で入って、払ったのは3,720円だった
最後に、細かいが気に入っている話を書いておく。
空港ラウンジである。
私はプライオリティパスを持っているが、同伴者は1人につき有料だ。家族4人で入ろうとすると、私以外の3人分がかかる。額にすると1万5,000円を超える。普段なら、入口の前で計算して、そのまま通り過ぎる。
ところが今回は、Trip.comの会員ステータスでラウンジの利用券が2枚付いてきた。
私が1人、券で2人。足りないのは1人分だけだった。
払ったのは3,720円。
3人分をまとめて払えと言われたら、間違いなく断っている。1人分だから出した。そういう線の引き方をしている。
90万円を、1人1日あたりに割ってみる
ここまで明細を並べてきたので、最後に割ってみる。
総額 約897,000円 ÷ 10日 ÷ 4人 = 1人1日あたり約22,500円。
90万円と聞くと、大きな数字に見える。1人1日22,500円と聞くと、そうでもない。同じ金額なのに、見え方が変わる。
この22,500円の中には、宿も、移動も、食事も、入場料も、全部入っている。国内で家族旅行をしても、宿と食事と移動を足せば、これに近い額になることは珍しくない。
そして、私はこの10日間で一度も我慢をしていない。
食べたいものを食べた。行きたいところに行った。歩くのが面倒なときは、迷わず車を呼んだ。削れる場所を探しながら旅をしていたわけではない。
それで、この額に収まった。
——高いか安いかは、読んだ人が決めればいい。ただ私は、自信を持って安いと言える。
90万円で、7歳と4歳は4つの国を歩いた。大蛇を首に巻き、272段を登り切り、夜の動物園を見た。
行かなければ、この10日間は存在しないし、90万円は手元に残っていただろう。
ただ私には、この10日間のほうが90万円よりもはるかに価値があるものだった。

