ひとつ確認したいことがある。私が変なのか、周りが普通なのか、である。
国内旅行に、ワクワクしない
国内旅行に、まったくワクワクしない。
国内には国内の良さがある、という意見は知っている。行ったことのない土地に行ける。その地域の美味しいものが食べられる。理屈としては、全部分かる。分かるのだが、心が動かない。
最後に国内で一泊したのがいつだったか、思い出せない。長崎のハウステンボスに行ったのが、たぶん一昨年あたりである。それくらい行っていない。国内旅行に行くお金があったら、海外に行く。
自分でも少し気持ち悪いと思うのだが、私は旅行の計画を立てているときから、空港に向かい、飛行機に搭乗するまでの時間が好きだ。現地に着いてからは、ホテルにたどり着くまでが好きだ。部屋に入ってスーツケースを開けたら、すぐに「ちょっと出かけるか」となる。**そこからがまたいい。**外に出れば、異文化が待っている。
日本語が通じた瞬間、旅は業務になる
国内旅行の何が足りないのか。最近、ようやく分析できた。
日本語が通じるのである。
何かトラブルが起きても、秒で解決してしまう。予約していたホテルが取れていなかったとする。近くにホテルはありますかと聞けばいい。キャンセルの扱いは、翌日に電話して確認すればいい。終わりである。何も焦らない。
日本は、トラブルが起きても事件にならない国だ。サービスの完成度が高すぎて、旅人からハラハラする機会を奪っている。
異文化との接触もない。ドキドキもない。こうなると、出張と変わらない。国内旅行は、旅行の顔をした業務になる。
英語が、少しだけ通じる国がいい
だから好きなのは、日本語が通じない国である。理想を言えば、英語は少しだけ通じるが、ほとんど英語ではない国がいい。
英語までまったく通じないとなると、さすがにしんどい。その代表が中国である。上海のような都市部なら、若い人には英語が通じることが多い。ところが都市部から車で1、2時間も走ると、若い人ですら英語がまったく通じなくなる。学校で何を習ってきたのか、と聞きたくなるほどだ。
ただ、それはそれで面白い。
何度も行っている中国への出張ですら、私は毎回ワクワクしている。仕事か遊びかは関係ない。線を引いているのは、日本語が通じるかどうか、それだけである。
ニュージーランドのフロントで
あの感覚を、一度だけ具体的に書いておく。
ニュージーランドを、当時まだ結婚前だった妻と、私の両親との4人で旅したときのことだ。夕方6時半か7時ごろ、予約していたホテルにたどり着いた。フロントで名前を告げると、予約は入っていないと言われた。満室だという。
外はもう暗くなりかけている。翌朝は早い。レンタカーの返却時間も迫っている。ここからホテルを探すのか。夜に車を運転して、どこへ行けばいいのか。
背中を、ゾワゾワしたものが這い上がってきた。
その場で予約サイトに電話をかけ、キャンセルは問題なくできると確認した。そこから近場で泊まれるホテルを探し、同じサイトで取り直した。1、2時間はかかったが、結局は何の問題もなく片づいた。
焦ってはいた。それでも、楽しかった。

海外旅行が10なら
この感覚を数字にしてみた。
海外旅行に行くワクワクを10とする。海外出張は8である。そして今年の冬、家族とスキーに行こうという話になっているのだが、こちらは5くらいだ。
誤解のないように書いておくと、スキーがつまらないわけではない。家族で行けば、それなりに楽しいはずだ。5にとどまる理由は、日本語が通じるから、それだけである。
不便は、自分で連れていく
これは私だけなのだろうか。
国内旅行の良さを語る人の言葉は、今でも全部分かる。分かるが、ゾワゾワはしない。
ただ、ここまで書いて、ひとつ思いついたことがある。国内旅行に、あえてハンデをつけたらどうだろう。
新幹線も飛行機も使わず、在来線だけで目的地を目指す。あるいは、バイクで行く。どちらもやったことはない。ただ、乗り換えを1本逃せば計画が崩れ、天気ひとつで予定が変わるような旅なら、日本語が通じても、少しはゾワゾワできるかもしれない。

日本語が通じる国でハラハラしたいなら、不便は自分で連れていくしかない。

