これまで色々な国を回ってきて、支払い方法についてはっきり言えることが一つある。世界は「中国」と「その他」に分かれている。つい最近中国に行ってきた。
その他の国は、わりと何でも受け入れてくれる
中国以外の国は、体感として現金・クレジットカード・QRコード決済が、まんべんなく共存している印象がある。現金を出しても嫌な顔をされることはないし、カードを出しても、QRコードを出しても、特に何も言われない。支払い方法に関して、選択の自由がちゃんと残っている。
中国だけ、明らかに様子がおかしい
一方の中国は、これがまったく通用しない。現金を出すと、あからさまに嫌な顔をされる。基本的にはアリペイかウィーチャットペイ、この二択以外はほぼ受け付けない、という空気が徹底している。コンビニはもちろん、屋台ですら例外なくQRコードが用意されていて、現金で支払っている人間を見たことがない。
この変化の速さが、正直理解できない
不思議なのは、この状況ができあがるまでの期間の短さだ。2010年前後は、まだ普通に現金を使っている人が多かった記憶がある。それがこの15年ほどで、十数億人規模の国が一気にキャッシュレス一色に振り切れてしまった。
一体どういう仕組みを使えば、これだけの人口を持つ国が、これほど短期間で決済手段をまるごと塗り替えられるのか、正直まったく想像がつかない。日本では未だに「現金派かキャッシュレス派か」でちょっとした議論になるくらいなのに、その隣の国では、その議論自体がとうに終わっている。
財布を持ち歩く自分が、なんだか時代遅れに見えてくる
中国に行くたびに、財布を後生大事に持ち歩いている自分が、なんだか化石のように思えてくる瞬間がある。現金を出そうとした瞬間の店員さんの微妙な表情を何度も見てきたので、最近ではもう学習して、事前にアプリの準備だけは整えていくようにしている。
実際、あちらでは財布を持ち歩かない人がもう珍しくないらしい。決済はもちろん、身分証明書までスマホにインストールされている。携帯をポケットに突っ込んで家を出れば、それだけで全部済んでしまう、というわけだ。
さらに驚いたのは、中国のとある地方のコンビニで見た光景だ。そこではもうスマホすら要らず、網膜認証と、口頭でパスワードを一言告げるだけで決済が完了していた。財布どころか、いよいよ端末を取り出す動作自体が省略されつつある。
日本のコンビニで感じる、置いていかれている感覚
自分自身、日本でもかなり前からキャッシュレス派で、現金でしか支払えない場面に出くわすこと自体がもう滅多にない。それでも、コンビニのレジに並んでいると、前の人が小銭を一枚一枚数えている場面には未だによく出くわす。
その光景を見るたびに、日本は世界に置いていかれている、と思う。遠回しに言う必要もない、はっきりそう思う。自分自身はとっくにキャッシュレスに移行しているつもりでも、社会全体で見ればまだこの速度なのかと、毎回突きつけられる。中国のあの変化の速さを一度肌で知ってしまうと、この差はもう言い訳のしようがないし、今から追いつけるとも到底思えない。
それでも今日も、私の財布の中では小銭がじゃらじゃらと音を立てている。網膜一つですべてが完結する国を見てきたばかりだというのに、この重みだけは、当分軽くなりそうにない。
つい最近中国に行ってきたのだが、その保安検査で同行者のモバイルバッテリーが没収された。

