2日目の目的地は、子供たちが到着前から指折り数えていたロッテワールドだ。10人での移動となると、普段以上に気を揉む場面が増える。地下鉄の乗り換えでは、はぐれる子供が出ないか、切符やカードの手配で誰かが詰まらないか、些細なことがいちいち気になってしまう。
気候同行カードで、10人分の切符問題を回避
そこで当日の朝、ホテル近くのコンビニで家族10人分をまとめて購入したのが、「気候同行カード」だった。一定期間乗り放題になる定額式のカードにチャージ済みで、回数券のように毎回チャージし直す手間もなく、改札はタッチひとつで抜けられる。10人分の切符を都度買う手間を思えば、この一枚は地味に大きな安心材料だった。

10人で反対方向の電車に乗り込む
こうして地下鉄を乗り継ぎ、ロッテワールドへと向かう。乗り換え自体はスムーズだった。
……はずだった。気づけば我々10人、揃って反対方向の電車に乗り込んでいた。10人が律儀に逆方向へ運ばれていく光景は、まあこれもご愛嬌である。
拍子抜けするほど空いていたロッテワールド

そしてロッテワールドに到着してからも、この日は拍子抜けの連続だった。事前情報では、混雑必至のテーマパークと聞いていたのだが、実際はどのアトラクションも驚くほど空いている。行列に並ばされることもなく、次々と乗り継いでいく子供たち。大人たちも、余計な待ち時間で消耗することなく、純粋に遊びに没頭できた。
大所帯での旅行というのは、とかく「誰かを待つ時間」が発生しがちだ。それがこの日は、ほとんど発生しなかった。
クルーズチケットを求めて、夕方のソウルを一人走る
午後になり、ロッテワールドを後にすることにした。空いていたおかげで、思っていた以上に効率よく遊び尽くせた実感があり、後ろ髪を引かれる感覚は不思議とない。むしろ体力を温存できたと考えておこう。
……いや、正確には、そんな悠長に考えている場合ではなかった。夜の漢江クルーズは事前予約制で、私が一人、チケットの引き換え窓口まで走らなければならなかったのだ。他の9人にはコーヒー屋で待っていてもらい、私だけが10人分のチケットを取りに走る。「計画魔」を自称している以上、この程度の走りは想定内だが、夕方のソウルの街を一人駆け抜けるのは、なかなか味わい深い経験ではあった。

頼みすぎた焼肉と、10人でつつくテーブル
無事にチケットを確保し、コーヒー屋の前で店から出てきた家族と合流。そのまま全員で焼肉屋へと向かった。席に着き、次々と注文を入れていくうちに、少し多めに頼んでしまったかもしれない、テーブルの上は肉一色となった。誰かが焼き、誰かが取り分け、子供たちは待ちきれずに箸を伸ばす。ロッテワールドで動き回った身体に、じゅうじゅうと焼ける音と香りが染み渡っていく。この日一番、全員の顔がほころんだ時間だったかもしれない。
生演奏の響く漢江クルーズ、静かな夜へ
腹を満たしたところで、いよいよ夜の漢江クルーズへと向かう。昼間の遊園地の喧騒、夕食時の賑やかさから一転、川辺に吹く夜風は驚くほど静かだった。船内には生演奏の音楽が流れ、ライトアップされたソウルの高層ビル群が漢江の川面に映り込む。動き回った身体には、この静けさと音楽が何よりのご褒美だった。

子供たちも、さすがにこの頃には少し大人しくなっていた。景色を眺めながら、それぞれが今日一日を振り返っているようでもあった。
にぎやかな遊園地から、静かな夜の川へ。同じ1日の中に、これほど対照的な時間が詰め込まれているのも、旅の面白さのひとつだと思う。
そして男性陣は、そっと途中下車する
……とはいえ、である。この日はまだ、終わっていなかった。
クルーズを終えて電車でホテルへ戻る道すがら、男性陣だけが途中の駅でそっと下車する。行き先はカジノ。詳しくは番外編で明かすとして、この夜のソウルには、二種類の「賑やかさ」が同時に流れていたわけである。
我ながら、体力があるなと思ってしまう。


