【ポンコツのたわごと #2】ホテルの朝食ビュッフェ、国民性がお皿に出る説

ホテルの朝食ビュッフェ ポンコツのたわごと

海外のホテルで朝食ビュッフェに行くたびに、密かに楽しみにしていることがある。他のテーブルの皿を、そっと観察することだ。

西洋人は「一枚のパン」で完結させる

まず目につくのが、欧米系の宿泊客の食べ方だ。パンを一枚だけ皿に乗せて、そこに丁寧にジャムやバターを塗って食べている人をよく見る。片手にはりんごをまるごと一個持って、そのままかじっていたりもする。品数は少ないが、一つ一つの所作がやたら丁寧で、朝から絵になっている。遭難した登山家がなけなしの食料を大事に食べているようにも見えなくはないが、あれはあれで美学なのだろう。

中国人は「平皿が満杯になるまで」乗せる

一方、中国系の宿泊客は真逆だ。ビュッフェの皿はだいたい平皿なのだが、その平皿が見えなくなるくらいまで、何でもかんでも山盛りに乗せている。麺コーナーがあれば必ずその場で作ってもらった麺を食べているし、あの塩辛く味付けされた卵を、お粥と一緒に食べている姿もよく見かける。品数も量も、明らかに一番多い。宿泊費のうち朝食代の元を、あの一皿で一気に回収しにいっているのだとしたら、それはそれで立派な経済合理性だと思う。

日本人は「フレンチか」というくらい少量ずつ

そして日本人はというと、これがまたきれいに対照的だ。まるでフレンチのコース料理かというくらい、皿に少量ずつ、彩りよく盛り付けている。品数は多いのに、一つ一つの量は控えめで、皿全体が妙に整って見える。

で、うちの家族はどうなのか

ここで自分の家族に目を向けると、なかなか面白いことになっている。私は完全に中国人タイプで、気づけば平皿が満杯になっている。40代に突入して健康診断の数値がじわじわ怪しくなってきている自覚はあるのだが、ビュッフェの前ではその自覚が毎回きれいに消える。数値が跳ね上がるのは、大抵この手の朝食の翌週に判明する。一方で妻は日本人タイプ、少量を綺麗に盛り付けるスタイルを崩さない。子どもたちはというと、ちょうど中間くらいの、ほどよいバランスに落ち着いている。同じ食卓を囲んでいるのに、皿の上だけ見るとまるで三カ国が同居しているような状態である。

ちなみにこの傾向、海外に限った話ではない。日本国内のホテルの朝食ビュッフェでも、中国からの旅行客はやはり同じような盛り付け方をしている。国が変わっても、皿の上の振る舞いはあまり変わらないらしい。考えてみれば「食べ放題」というシステム自体、人間の欲望を正面から肯定する、なかなか業の深い発明だ。元を取ろうとした瞬間から、人はみな同じ生き物になる。

朝からそんなことを観察して一人でニヤニヤしているのだから、我ながら暇なのか、ただの職業病なのか、よく分からない。ただ、次にどこかのホテルで朝食を取るときも、きっとまた誰かの皿をチラ見しながら、自分の皿にも同じくらい山盛りにしているのだろう。

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