香港・マカオ旅行の5日目。マカオでの2泊を終え、今日はフェリーで香港へと戻る。そして、この旅で子供たちが最も心待ちにしていたイベントが、ついにやってくる。香港ディズニーランドである。
早朝フェリーと、一人で荷物を運ぶ男
朝は早かった。前日のうちに買っておいたフェリーチケットを手に、早朝の便でマカオから香港へと渡る。早い時間ではあったが、不思議と眠さは感じなかった。今日という一日への期待が、眠気を上回っていたのかもしれない。
香港のフェリーターミナルに到着してからが、また一仕事だった。
この日、大人たちは別行動をとる予定になっていた。老人組(親世代)は、香港の観光ツアーへ。若手組は、ディズニーランドへ。老人組はターミナル到着後すぐにツアーの集合場所へ向かわねばならず、一方の我々も、一度ホテルに戻る余裕はない。
そこで、である。全員のスーツケースと荷物を、私一人がまとめてタクシーに積み込み、ハーバービュー香港まで運ぶことになった。ハーバービューには、マカオへ発つ前に一部の荷物を預けてある。そこへ、残りの荷物も追加で預けてしまおう、という算段だ。
一人でタクシーに大量の荷物を積み込み、ハーバービューへ直行。荷物を預け、身軽になって、今度は全員との合流地点であるセントラル駅へ向かう。大所帯の旅では、こういう地味な力仕事が誰かしらに発生する。この日はたまたま、それが私だった。
セントラル駅で、また集合できない
さて、その合流地点のセントラル駅。ここで、またしても「集合できない事件」が発生する。
老人組が参加するツアーの集合場所は、セントラル駅の構内にあるパン屋さんの前と決まっていた。私はタクシーでスムーズに到着し、難なく合流地点にたどり着いた。ところが、問題は他のメンバーである。
香港のセントラル駅は、とにかく広く、複雑で、人が多い。上のいとこが先頭に立ってみんなを誘導していたのだが、駅構内のパン屋にたどり着けず、あちこち迷ってしまったらしい。前日はマカオのベネチアンで「広すぎて集合できない」を経験したばかりだというのに、今度は香港の駅構内で同じことを繰り返す。我々一族は、どうやら「集合」という行為が、根本的に苦手らしい。
なんとか全員が集合し、ここで老人組と若手組は、それぞれの一日へと分かれていった。
老人組はケーブルカー、若手組はディズニーへ
老人組が向かったのは、香港郊外の自然を楽しむ観光ツアーだった。山の上へと運んでくれるケーブルカーに乗ったり、イルカウォッチングをしたりと、香港の都会的なイメージとはまた違う一面を巡るツアーである。私は同行していないので詳しくは語れないが、夜に合流した際、みんなずいぶん楽しんできた様子だった。日頃なかなか一緒に旅行できない親世代が、こうして満喫してくれたのなら、それが何よりだ。
そして、我々若手組。私、妻、子供2人、そしていとこ2人の計6人は、いよいよ夢の国、香港ディズニーランドへと向かったのだった。

香港ディズニーは、待っても最大30分
香港ディズニーランドに着いて、まず驚いたこと。それは——空いている、ということだった。
我が家は東京ディズニーには何度も足を運んでいる。だからこそ、この差は衝撃だった。東京のディズニーといえば、人気アトラクションは長ければ3時間待ちも当たり前。炎天下や寒空の下、延々と列に並ぶのが、ある種の「儀式」のようになっている。
ところが、香港ディズニーは違った。どんなに待っても、せいぜい30分。多くのアトラクションは、10分から15分も並べば乗れてしまう。この待ち時間の短さは、子連れにとっては本当にありがたい。並ぶことに子供が飽きてぐずる、という、テーマパークにつきものの悲劇がほとんど起きないのだ。
もし「東京ディズニーの混雑にはもう疲れた」という子連れファミリーがいたら、香港ディズニーは一つの答えになるかもしれない。同じディズニーの世界観を、圧倒的にストレスなく楽しめる。これは、実際に両方を体験したからこそ言える、正直な感想である。

アナ雪の世界と、2回見たパレード
空いているおかげで、我々は次から次へとアトラクションを回ることができた。中でも印象に残っているのは、アナと雪の女王をテーマにしたエリア。下の娘がアナ雪の大ファンなので、彼女のはしゃぎっぷりといったらなかった。あの世界に実際に入り込めるのだから、無理もない。
そして、この日いちばんの感動は、パレードショーだった。

これが、本当に素晴らしかった。あまりに良かったので、我々は同じパレードを2回も見てしまったほどだ。色鮮やかなフロート、キャラクターたち、音楽。子供も大人も、みんな揃って見入っていた。テーマパークのパレードというのは、こんなにも人の心を掴むものなのか、と改めて思わされた。
そしてもう一つ、心が温まる出来事があった。いとこたちが、私と妻に、お揃いのペアTシャツをプレゼントしてくれたのである。若いいとこたちが、こうしてさりげなく気を遣ってくれる。その優しさが、なんとも嬉しかった。大所帯の旅は大変なことも多いが、こういう瞬間があるから、やめられない。

「楽しかったね」の夜、そして最後の買い出し
一日たっぷりディズニーを満喫し、夕方、老人組との合流地点へ向かった。ホテルの最寄り駅で全員が再会し、それぞれの一日の土産話に花を咲かせる。老人組もツアーを満喫してきたようで、みんな満足げな顔をしていた。
ハーバービュー香港にチェックインを済ませ、荷物を置いて、夕食は駅の近くのレストランへ。香港らしい料理を囲みながら、今日の出来事を語り合う。そしてこの食卓にも、例のあれが登場した。**茅台酒(マオタイ)**である。マカオのベネチアンで開封されたあの高級白酒、その残りが、香港でも変わらず食卓を彩っていた。この一族、本当にどこへ行っても茅台酒である。
明日には、一部の家族が帰路につく。そのことが頭にあるからか、この夜の食卓は、どこか名残惜しい空気に包まれていた。「楽しかったね」という言葉が、何度も交わされる。世界中から集まった一族の旅も、もう終わりが近いのだ。
さて、しみじみとした夜も、これでお開き——という段になって、私はふと、コンビニでジュースでも買ってこようと思い立った。ほぼホテルに帰り着いていたところではあったが、まあ、こういうのは思い立った時に動くに限る。
ついでに、と思って周りに「なんかいる?」と聞いてみると、下のいとこのパパ、つまり叔父が「ビール」と手を挙げた。というわけで、自分のジュースのついでに、叔父のビールも買って戻ったのだった。
ハーバービュー香港は、その名の通り、ヴィクトリアハーバーに面したホテルである。川を挟んだ対岸には、数日前に歩いたAvenue of Starsのある尖沙咀の側が広がり、香港島側からその夜景を望むことができる。買い物から戻った私は、冷えたビールとジュースを抱えたまま、しばしその夜景に見入っていた。
きらめく高層ビル群、水面に映る光、行き交うフェリーの灯り。初日にモンコックで「香港って思ったより綺麗じゃないね」と言っていた我々だったが、今こうして眺める夜景は、文句のつけようもなく美しかった。

この景色を、あと何日、この一族みんなで眺められるだろうか。明日には、家族の何人かが香港を発つ。世界中から集まって、笑って、食べて、迷って、時にぶつかりながら過ごしたこの旅も、いよいよ終わりが近い。夜景の美しさと、旅の終わりの気配が、静かに胸の中で混ざり合っていた。
もう少しだけ、この賑やかさの中に、浸っていたい。そう思わせる、香港の夜だった。
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【子連れ香港・マカオ旅行 最終回】香港の夜景に唸り、一番の美食は韓国料理、そして最後の大事件|6日目・帰国編 #6

