
家族4人、10日間、4カ国。ざっくり書くとそれだけの旅なのだが、途中で何度も「これがなかったら詰んでたな」と感じる場面があった。
本編(【#1〜#4】)を書きながら、そんな**「旅を成立させてくれたツール」**を数えていたら、5つあった。
決して回し者ではないし、案件でもない。ただ、実際に助けられたものは、書いておきたい。
(本編を読んでいない方はこちら → 【#1】完璧な計画書と、初日のATM難民|シンガポール編)
1. Wise|所持金0円の父を救った、1枚のカード
シンガポール、初日。
チャンギ空港のATMでクレジットカードのキャッシングを試したら、まさかの全滅。空港ATMはもちろん、市内に移動してホテル下の商業施設に降り、片っ端から20回抜き差ししてもダメ。理由は今も分からない。
家族4人、手元の現地通貨ゼロ。
そこで最後に頼ったのがWiseだった。「こんなこともあるかと」念のため持ってきていた、海外送金・多通貨カード。日本の銀行からWiseへ緊急送金し、ようやく現地通貨を確保できた。
これがなかったら、初日の夜、家族4人はホテルの部屋から一歩も出られなかった。
——正確に言うと、日本円を10万円弱は持っていたので、両替すれば動けはした。しかもシンガポールは、ホーカーズと露天以外ほとんどクレカ決済が通る(キャッシングが無理な同じカードでも、決済は普通に通るのだ)。だから実際、現金を使う場面は少なかった。
それでも、手元に現金がないという不安が、何よりも心を焦らせる。
しかもこの後、マレーシア・ベトナム・タイと3カ国が残っている。他の国でも引き出せなかったら——と思うとぞっとする。
(結果的には持って行ったクレジットカードはマレーシア・ベトナム・タイのATMは一発で通り、Wiseの出番はシンガポールの一度きりだった。それでも、その一度のために持って行った価値は十分にあった。)
何がよかったか
- メインのクレカが死んでも、Wiseは別系統で生きていた(たぶんこれが一番でかい)
- 日本の銀行口座からその場でスマホでチャージできる
- 為替レートが良心的で、手数料も明朗
「海外キャッシングの手段は2系統、しかも別サービスで」——これがこの旅で得た、一番実務的な教訓である。
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(該当エピソードは【#1】シンガポール編で詳しく)
2. Go Cityパス|シンガポール1都市で5スポット、確実に元が取れた

シンガポール滞在中、我が家はGo Cityパスを1枚ずつ持って移動していた。
結果として、このパスで入れたのは以下の5スポット。
- ユニバーサル・スタジオ・シンガポール
- シンガポール・ケーブルカー(ガラス床のあれ)
- ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ(ドームで4歳が恐竜に泣いたやつ)
- セメントコースターのワークショップ(WhatsApp直談判で予約したあの店)
- ナイトサファリ
これで確実に元は取れたと思っている。特にUSSとナイトサファリは、単体で入ると結構な金額になる。
唯一取り逃したのはマリーナベイ・サンズの展望デッキ(利用可能な時間帯を過ぎていた)だが、それを差し引いても圧勝である。
何がよかったか
- 1枚で複数施設に入れるので、都度の予約・支払いが不要
- 主要スポットがほぼ網羅されている
- スマホのアプリで管理できるので紙のチケット不要
ただし注意点もあって、ナイトサファリはGo City経由でも「その場のWi-Fiで時間予約」が必要だった。これは知らないと現地で焦る。
(該当エピソードは【#1】シンガポール編で詳しく)
3. KKday|入国審査2〜3時間の地獄を、15分に変えた課金

ベトナム・ホーチミンのタンソンニャット空港に着いたときの話である。
入国審査場を見た瞬間、思わず声が出た。「エグい並んでる。」 目測で2〜3時間コースの大行列。
7歳と4歳を連れて、この列に並ぶのか——想像しただけで気が遠くなった。
だが我が家には、事前に頼んでおいたKKdayのファストトラックサービスがあった。約24,000円。到着ゲートで待機していたスタッフに搭乗券を見せると、政府関係者が通るようなレーンへ案内される。それでも15分は並んだが、一般レーンの2〜3時間と比べれば、天と地である。
ここまで読んで、正直な気持ちも分かる。24,000円は、高い。「そこまで並んでなかったら…」「入国だけで良かったのでは…」——大人のカップル、乗り継ぎや早朝便でもない、時間に余裕がある旅であれば、その感覚は正しい。
ただ、家族連れや、旅行プランをしっかり立てる派の方には、ぜひ活用してほしい。子ども連れで2〜3時間立ちっぱなしはそれだけで一日の体力を削るし、後続のスケジュールが崩れれば、その日の楽しみも道連れになる。「保険」というより「品質保証」に近い、そんな課金だと思う。
「金で時間を買う」という言葉があるが、子連れ旅においては、金で”消耗しない体力”を買っているのだと思う。
何がよかったか
- 出発前にネットで予約完結、当日は搭乗券を見せるだけ
- 入国と出国の両方をセットで頼めるプランがある
- 24,000円は決して安くないが、大人1人あたり6,000円で数時間の消耗を回避できると思えば十分安い
- 何より、旅行という**「楽しい」をしに来ているのに、「生産性ゼロの待つ作業」をしなくていい。何ならその浮いた時間で「楽しい」**が増える方に価値がある
- 帰りの出国時に「一般レーンが空いてる」場合でも、保険として持っていていい安心感がある(我が家の帰路がまさにこのパターンだった)
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(該当エピソードは【#3】ベトナム編で詳しく)
4. Klook|12時間クチトンネル&メコンデルタツアー、家族4人で完走
計画段階で、一番心配していた日があった。

クチトンネル&メコンデルタ日帰りツアー、拘束12時間。
「4歳にはハードな可能性。柔軟対応が可能か事前確認」——計画書にはそう書き込んでいた。
このツアーを予約したのがKlook。朝7時にホテル前に迎えのマイクロバスが来て、そこから終日ガイド付きで動く。一番乗りだったので最後列の4席を確保でき、それがそのまま「我が家の指定席」になったのも良かった(初動大事)。
結果として、この日は旅の中でも最も濃い一日になった。
- 4歳、実弾射撃場の銃声に両耳を塞ぎながら耐えた
- 7歳、大蛇を首に巻くという一生モノの武勇伝を作る
- 帰り道、市場近くのフォー屋(PHO VIET NAM)で締めた一杯が、この旅のベスト飯候補になる
一番心配していた日が、一番の当たり日になった。
何がよかったか
- 現地ツアーを日本語で予約完結、バウチャーも日本語
- 送迎付きなので、子連れでも移動の負担が最小
- 一日で複数観光地を回れる効率の良さ(ホーチミン発の日帰りは特に◎)
- クチトンネルとメコンデルタを両方組んだセットは、単発で行くより圧倒的にコスパがいい
12時間という長丁場は正直、4歳にはギリギリだった。ただ、それを見越してバスの最後列を先取りしたり、車内で休める時間を最大化する動き方は取れた。
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(該当エピソードは【#3】ベトナム編で詳しく)
5. Klook eSIM|東南アジア周遊プラン、10日間問題ゼロ
(ここに、スマホの5G表示画面か、eSIM設定画面のキャプチャ)
もう一つ、Klookで買ったものがある。**eSIM(データ通信)**である。
利用したのは東南アジア周遊プラン、15日間で10GB、約1,200円。今回訪れた4カ国(シンガポール・マレーシア・ベトナム・タイ)は全部カバー範囲で、10日間、一度も問題なく使えた。
eSIMなので、SIMカードを物理的に差し替える必要はない。現地に着いてスマホの設定でオンにするだけ。
ただし、iPhoneユーザーは要注意
……で終わっていれば楽な話なのだが、実はiPhoneには落とし穴がある。
普段、格安SIM(mineoやIIJmioなど)を契約している人は、構成プロファイルというものをiPhoneに入れているはず。これが海外eSIMの通信を邪魔することがある。
私も最初「あれ、5Gアンテナは立ってるのに繋がらない?」と焦ったのだが、構成プロファイルを一時的に削除した瞬間、5Gがビンビンに立った。
これ、ネットで調べても意外と出てこない情報だ。
(Android勢は特に問題ないので、iPhoneユーザーだけがハマる罠である)。
削除してもよい理由
「プロファイル削除、なんか怖いんだけど」と思うかもしれないが、大丈夫。
日本に帰国後、空港のWi-Fiに繋いで、契約している格安SIMのサイトから同じプロファイルを再ダウンロード→再インストールすれば元通りである。無料だし、5分もかからない。
何がよかったか
- 物理SIM差し替え不要、着いたらオンにするだけ
- 東南アジア周遊プランは1回の購入で複数国カバー、SIM買い直しなし
- 10日間・4カ国・4人家族でトラブルゼロ
- 1,200円という価格は、正直「安すぎない?」と疑うレベル
事前に空港などでSIMを探して並ぶ時間もゼロ。「着いた瞬間から普通にネットが使える」、この安心感は旅の質を静かに底上げする。
余談: この旅で感じた、デジタル格差のこと
要らないお世話かもしれないが、最後に一つだけ。
今回紹介した5つのツールは、どれも「スマホありき」だ。Wiseもアプリ、Go CityもQRコード、KKdayもKlookも予約からバウチャーまでスマホ完結、eSIMに至ってはスマホそのものの設定作業である。
そして最新のiPhoneやAndroidは、そもそも物理SIMが入らない形態が主流になりつつある。プロファイル、ローミング、eSIM、QRコード——横文字が苦手な高齢の方にとって、なかなか辛い世の中になったな、と旅の途中で何度も思った。
Go Cityも、入場はすべてスマホでQRコードを見せる方式。デジタル系が苦手な人は、こういうサービスの恩恵を受けにくく、選択肢が実質的に狭まる。
10日間の周遊が「たった1,200円のeSIM」で成立する時代の裏側で、そこにアクセスできない人たちがいる——という視点は、忘れないでいたいと思った。
おわりに
この5つのツールは、決して**「これがあれば旅がラクになる」**という魔法ではない。
ただ、我が家の場合は、この5つがなかったら、
- 初日から現金が引き出せず、動けなかった(Wise)
- シンガポールの観光費用が数倍に膨らんだ(Go City)
- ホーチミンで入国だけで半日つぶれた(KKday)
- 12時間ツアーは選択肢に入らなかった(Klook)
- 現地でスマホが繋がらず、迷子になっていた(eSIM)
つまり、旅そのものが今の形では成立しなかった、数倍過酷になったという話である。
計画魔の私が、計画の中に組み込んで、実際に助けられたもの——それが、この5つだった。
次に東南アジアを子連れで回る誰かの、参考になれば幸いです。
(本編を最初から読む → 【#1】完璧な計画書と、初日のATM難民|シンガポール編)

